思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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学校の帰りだった。
今日はバイトの日だから早めに帰ろうと最低限にまとめた鞄だけを持って帰路へ向かう。
早く帰らなくては…。
今日はバナナのシフォンケーキ作るんだ。
学校でバイトは禁止って言うか、法律で中学生はバイト禁止だけど私は自営業の家のお手伝いという事なので何ら問題ない。
勿論それは学校にも言ってないし、拓人君や蘭丸君にも言ってない。
内緒だ。
問題ないのに内緒にするのは変だと自分でも時々思う。
もし言えないならどうして言えないのかもよく分らない。
私の進む道の先、6メートルくらいの所に知らない男の人がいた。
学校って関係者以外入っちゃいけないってなっているはずなんだけど…。
はっ!まさか、不審者…!?
また不審者か。
どうしよう、また青木さ…違ったあれは黒木さんだ。
青木さんで登録した私が悪いけども、読みはくろきで登録したからね。
なんて紛らわしい登録しているんだ私。
黒木さんのパターンだったらどうしよう…。
男の人をじっと見ていれば彼は私に気付いた様で、こちらに顔を向けた。
目が合った。
誰だこのイケメン。
例え不審者でもイケメンだから多分女の子はホイホイされちゃうだろうな。
その時視界で動くものについ反応してしまい、見ればボールが男の人に向かっている。
心では危ないと言ったのに、口は上手く反応出来なかったらしく、私は口から息を吸うことしか出来なかった。
その時には男の人はボールに気付いていたらしく、上手く胸で止め、片手でボールを持った。
下手したら右頬にボールが直撃する所だったのに、彼は驚いた様子もなく、爽やかな笑顔だ。
「ありがとう、教えてくれようとしたんでしょ?」
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