思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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今日はホーリーロードの白恋中との試合だ。

勿論私は前回と同じようにゆっちーと病室で待機だ。

待機というか観戦だ。

試合開始のホイッスルが鳴り、氷のフィールドに慣れていない雷門が転ぶ姿が見える。

剣城君も滑ってしまっているが、浜野君や松風君の様に盛大に転んではくれない。

どうやら剣城君は滑りまでクールでらしい。

折角剣城君が転ぶ姿を脳内レコーダーに収めようとわくてかしていなのに…。

一方白恋はというと北国の選手とあって皆フィールドで転ぶ人はいない上、動きにもぎこちなさが全くない。

「寒い」

私はポツリと呟いた。

傍にいたゆっちーが驚いて声を洩らす。

「大丈夫?風邪?」

「え、あ、いや、試合会場観てるだけで寒そうだな、と…」

何しろ試合会場は氷の上だ。

私はカーディガン着てる上に会場にいないからまだマシだけど。

着てない女子は可哀想に。

これ見てるだけでもだいぶ寒いわ。

私は自分を温める様に腕を組んだ。

「泉ちゃん」

名前を呼ばれるのと同時に肩を引かれる。

腕を組んでいた為に受け身の態勢が取れず、そのまま腹部をベッドに打ち付けた。

「ううっ」

左手で腹部の辺りを押さえて、右手をベッドの縁について体を起こす。

不意打ち過ぎて痛い。

「あ、ごめん」

「何するんです…かッ!」

ゆっちーに文句を言おうと顔を上げれば割と近い距離に驚いた。

こういうの前にもあった気がする。

そうだ、拓人君と小学校の時こんな近い距離になった事がある。

机に座っていた私が拓人君と話している時に男子が悪ふざけで後ろから拓人君を押して、それで顔面激突しそうになったんだ…。

涙目で顔を真っ赤にして謝ってきた拓人君可愛かったな…。

なんだか懐かしい。



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