思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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先日の白恋の試合をちゃんと見ていないなんて言えない。

でも人は嘘ついたりする時に饒舌になるか、物事をより詳しく説明したがるから敢えて何も言わない事にする。

口は災いの元でもあるし。

「今日は妙に無口だな」

うああああああやっぱり気付くか!

ここは口が滑ってはいけない時だ。

試合見ながらゆっちーにあらぬ事をしようとしてたなんて不謹慎すぎる事言えない。

正直言えば前半戦の時に剣城君が見事に尻もちついてくれないかとわくてかしてたなんて言えない。

「あのさ、やっぱり私黙ってるとか無理だよ。新しい監督に私の恐ろしい活動の事懺悔したい」

今の私にはこれ以外にいい訳が思いつかなかった。

これが一番妥当ないい訳だと私は考えている。

正直言って新しい監督怖そうだ。

目は口ほどにものを言うって言うし…目が見えないだけであんなに恐ろしいとは…。

そしたら私もだいぶ恐ろしいかもしれない。

だからリングがあんなに恐ろしいのか。

「何考えてんだよ。バカか、アンタ。自分の立場が悪くなるだけだろ。分かってんのか?」

剣城君は声を落として言った。

なんだ、内緒話か。

「分かってる、分かってるけど!やっぱり悪い事したら正直に言わなきゃ!」

こういう事黙っているとよくお母さんに怒られた。

正直に謝りなさいって言われたのに私一生懸命掃除機に謝っていたらしい。

なんてバカなんだ私。

面白過ぎる。

中学生とかでそういう天然ボケキャラだったら今とは違った人気者になれただろうに、なんて残念なの。

今になってはお母さんにだけは逆らえないし、そういう癖がついてしまったんだから仕方がない。

「真面目か」

「剣城君だって結構真面目じゃん。まるで平安時代の男の様にゆっちーの所に通っているじゃないか」

私の言葉に剣城君は露骨に顔を顰めた。

「変な表現やめろ」

やっぱり変な表現すると話逸れるからやめるべきか。

「わかった、やめる」

私がやめると言えば剣城君は意外そうな顔した。

だが、私が続きを話したいからだと直ぐに察し、いつもの不機嫌そうなポーカーフェイスになってしまった。



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