思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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鬼道監督の素早い対処のお陰で私の手は火傷の赤みも引き、爛れるなんてグロテスクで恐ろしい事にはならなかった。

鬼道監督マジいい人。

火傷のお陰でコーヒー入れる所か、鬼道監督は自分の分は勿論、私の分まで入れていただいてしまった。

私の分のコーヒーは黒くもないし、コーヒー牛乳の色でもない。

最早色がミルクティーと化している。

砂糖は五杯入れた。

その時の鬼道監督の顔は若干引きつっていた。

ブラックの人にこの甘さが理解できない様に、甘党の私にはブラックの人が理解できない。

本当はブラックの香りを楽しみながら飲むのに憧れているが、苦いものはダメだ。

一度気取ってブラック飲んでクッキーを勢いよく貪った事がある。

気まずい、非常に気まずい。

落ち着こうと一度喉を潤す為に私は遠慮がちにカップに口をつけた。

砂糖やミルクに遠慮はしなかったけども。

鬼道監督を見れば、彼は私の差し出した爪楊枝でシフォンケーキを突っついていた。

どうやら上手く刺せないらしい。

私はカップを置いて鬼道監督の傍に寄り、鬼道監督から爪楊枝を奪い、代わりに刺してやる。

「鬼道監督、はい、あ〜ん」

「そこまでしなくていい」

「鬼道監督空気読んで下さい」

個人的に表情も空気も読めない鬼道監督が赤面するのを見たい。

照れて赤くなるのでも、怒りのあまりに赤くなるのでもいい。

どっちでもいいから人間らしいところ見たい。

私がここでデートみたいですねーとか何とか言ってシフォンケーキを喉に詰まらせて赤面させるのもありだ。

それとも介護みたいですねーって言って年齢差の所に触れればきっと凄く怒るぞ。

鬼道監督がヤングスカイウォーカーにならないか心配だ。

あ〜んは諦めて、鬼道監督に大人しくシフォンケーキを渡す。

「なんかお仕事の邪魔してすみません…」

「いや…」

「私が人に慣れない事で何かしようとするといつもこうやって迷惑かけちゃうんです…私、役立たずなんです」



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