思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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朝学校に登校した時、校門入って23メートルのところで猫が木の上にいるのを見つけた。

猫に歩み寄り、手を伸ばしかけた所で右手を止める。

以前道端で見掛けた猫を愛で過ぎて学校に遅刻した事がある。

今回も時間を忘れて遅刻してしまうのでは…。

あり得る、あり得る。

だがここは学校の敷地内。

多分遅刻はしない、誰かが声をかけてくれるはず…。

…誰が私に親切心持って接してくれるんだ…?

自問自答で出た結果は声をかけてもらえる可能性はないに等しいと言うことだ…。

私は自己嫌悪になりながら猫に手を伸ばした。

猫は私に警戒心剥き出しで、威嚇するように腰を高く上げた。

逃げる体勢は既に出来ているようだ。

それに構わず私は猫を触ろうと手をゆっくりと伸ばしていく。

私の手が猫に触れようとした瞬間、猫は私の手の甲に爪を立てた。

私が痛みに怯んだ瞬間に猫は木から飛び降り逃げた。

私は去っていく猫の後ろ姿を目で追うだけ。

逃げられちゃった…。

小さく溜め息を吐き、引っ掻かれた手の甲を見る。

4本の赤いみみず腫が出来ていた。

帰ってお父さんになんて言い訳しよう。

きっとお父さん猫をネズミ捕りにひっかけたりしちゃうかもしれない。

それくらい私のお父さんは過保護だ。

傷口を見ていれば後ろから声をかけられた。

「泉?」

振り返れば予想通り拓人君だ。

もう一人の過保護が来たわ。

「た、拓人君おはよう!」

パッと顔を上げて拓人君を見る。

拓人君は私の手の傷に顔をしかめた。

「猫に引っ掻かれたのか?」

「あー、うん」

拓人君は私が怪我するといつもそういう顔する。

そして俯き、視線を反らす。

恥だ。

「保健室行くぞ」

「これから朝練でしょ?」

「怪我人を放っておけないだろ」

そう言って私の傷に触れないように手を掴んで引っ張ってくれる。



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