思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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無事、サッカー部のごたごたが収まったらしい。
解決方法はよく知らないが、なによりだ。
木戸川清修。
去年の決勝の相手だ。
「ゆっちーお久しぶりです!」
315号室。
ゆっちーの病室。
ホント久しぶりだ。
何しろ白恋の試合以降顔ださなかったからね。
「久しぶりだね、泉ちゃん」
「あの、その、来なくてすみませんでした…」
謝る事は大事だ。
私には頭を下げられるプライドがある。
私は深く頭を垂れた。
「俺こそ、この間はゴメン」
「いえいえ、私の方こそすみません」
「いやいや、俺こそ…」
なんて永遠と終わらないような謝り合い。
ぷっと二人の口から短い息が漏れる。
そして二人分の笑い声が病室に響く。
「おあいこだね」
「ですね」
この前の事がまるでなかったみたいだ。
気まずさがなくなって、胸のしこりが消えたのを感じた。
多分ゆっちーとより近い距離の友人になれたに違いない。
「ゆっちーにお土産持ってきました!」
最近来なかった事へのちょっとした罪悪感の表れだ。
予め鞄から出しておいたピンク色の可愛らしい紙袋(後になって男子にこういうのは男子からしたら受け取りがたいかもしれないと気付いた)をゆっちーに差し出した。
「ありがとう」
ゆっちーは静かに微笑み、受け取ってくれた。
ああ、この笑顔癒やされるわ。
なんて素敵。
きっとマイナスイオンをゆっちーは放出しているに違いない。
紙袋に手を入れ、中身を取り出し、それを見つめる。
「プリン?」
「はい、私の最高傑作のプリンです。差し入れって普通は焼き菓子が王道なんでしょうがね」
…今のちょっと皮肉っぽかったかな?
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