思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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準々決勝の試合をゆっちーの病室で見て、帰ろうと病室から出て1分42秒。

角を曲がる所で人とぶつかってしまった。

角でぶつかるとかなんてベタな。

尚且つこれが押し倒されているというね。

ゆっちーが見たら凄くショックかもしれない。

ゆっちーと言う者がありながら早速浮気か私。

これが遅刻ギリギリで食パンかじりながらの登校だったら凄く滑稽だろう。

でもやってみたい。

「ごめんっ」

私にぶつかってきた彼は体を起こし、謝ってきた。

彼の服装を見ればこの病院に入院しているらしい格好だ。

あわわわわわ私患者さんとぶつかっちゃったよっ!

どうしよう!!

保護されるべき患者さんになんて事をっ!

「私こそごめんなさいっ!あの、大丈夫ですか!?」

大丈夫ですかとか言いながら彼に起こしてもらうとかどんだけ図々しいの私。

「太陽くーん!」

「げ、冬花さん」

多分呼ばれた声に反応したのだから、彼曰く冬花さんが呼んでいた太陽君なのだろう。

彼は私の手を掴み走りだした。

何故私も走るんだ?

彼は空いている病室に駆け込み、ドアを閉めた。

そもそも何故彼は逃げているんだ。

まさか注射が怖くて逃走してるとかじゃないよね…?

確かに注射は逃げだしたくなるほど怖いけども。

「俺は雨宮太陽。よろしく。君は?」

雨宮太陽君と言うのか…。

苗字と名前が対象的過ぎて面白い、そんな名前つけた親の顔が見てみたい。

多分これ使い方違うな…でもまぁいっか。

「私は織武泉。よろしくね、 雨宮君」

「太陽でいいよ」

ファーストネームで呼ぶのを所望ですか。

だが君付けは譲れん。

「太陽君」

名前を呼んでみればまぁ、これは素敵な笑顔で。

ヤバイ、名前の通りの笑顔だ。

苗字じゃないよ、名前の方だからね。

「太陽くーん」


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