思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
2ページ/2ページ




段々と彼を呼ぶ声が大きくなってくる。

「ちょっとごめんね」

そう言った彼は私を抱きしめた。

え、何?どういう事?

病室のドアが開いた。

「太陽君、こんな所にいたの!」

叱りつける…といっても優しく諭す様な口調だ。

「冬花さん邪魔しないで下さいよ!折角いい所だったのに…」

「そういう事は自分の病室でも出来るでしょう!」

仕方ないわね、早く病室に戻るのよ、と言うと冬花さんはドアを閉めた。

ドアが完全に閉まると太陽君は私を解放した。

ダメだ、まだドキドキが収まらないや。

私とは対照的に太陽君はすまし顔。

ドキドキしているのが私だけとか悔しい。

「いつもこうなの?」

「何が?」

「いつもこうやって逃げ回ってるの?」

「そうだよ」

太陽君はさも当たり前の様に言う。

これは脱走の常習犯だ。

「俺の病室238号室だからいつでも来てよ」

え、脱走の常習犯がいつでも病室にいるとは思えないんだけど。

彼は夜中に病室に来いというのか…?

流石に夜中に病院開いてないと思うよ?

「じゃあまたね、泉ちゃん」

太陽君はゆっちーとは違う、年相応の少し幼い笑顔を私に向けて、ドアを開け、また逃走しだした。

太陽君って患者さんみたいだけどあんなに走り回って大丈夫なのかな…?

見た感じ骨折とかではないだろうし…。

いいのかな?

いいのか、あれ。

というか私は完全に冬花さんに誤解されている。

なんとかして解いておきたい。





こっこれは誤解だっ!!


(浮気性なのは自覚があったけども…。)

(30分程度でもう浮気とかどういう事なの!?)



.
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ