思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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私は何故か部室に呼びだされた。

鬼道監督に。

いいのよ、別に部室に呼びだされるのは。

女の子に校舎裏来いとか言われる訳じゃないから、死亡フラグじゃないんだよね?

そうだよねっ!?

フラグはアレですよね、マネージャーの件ですよね。

部室に行けばまぁ、サッカー部が居る訳で。

私が部室に来て直ぐに鬼道監督も入ってきた。

鬼道監督は入口付近に立っていた私の姿を確認すると口を開いた。

「今日から織武にはマネージャーになってもらう」

「はい?」

マネージャー組からは嬉しそうな声が聞こえて、選手の彼らからはまぁ、それなりの反応だ。

真っ先に私に駆け寄って、挨拶した子がいた。

「よろしくお願いしますね!泉先輩!」

おおふっ、女の子に、しかも可愛い女の子に手を握られてしまった。

空野さん、可愛い。

いや、寧ろ文句言わない女の子は本当に可愛い、特に後輩なんて最高に可愛い。

勿論マネージャーなんてやるかこんちきしょう!とか言って手なんて振り払えないよ!

何これ決定事項?

恨めしそうに鬼道監督に首を向ければいつものすまし顔。

「なかなか返事が来なかったんでな…。大丈夫だ、既に両親の承諾は得ている」

いや、大丈夫じゃないよ、私バイトあるんだって。

断れない、こんな可愛い女の子の手振り払ったりできない、寧ろこれは女の子のお友達を作るチャンス!

「…よ、よろしくね、空野さん」

「葵でいいですよ!泉先輩!」

私は軽く頷いて、名残惜しみながら葵ちゃんから手を離した。

こうなったら腹をくくるしかない。

改めてサッカー部に体を向け、頭を下げた。

「織武泉です。不束者ですがよろしくお願いします」

サッカー部の殆どの人を私は幼馴染系列で知っているが、彼らは私の名前をちゃんと知らないかもしれないのでちゃんと自己紹介も忘れない。

ああ、もう私イベントとかの費用どこから持ってくるのよ!

「泉先輩それじゃあ嫁入りですよ!」

「あれ?」

ダメだ、だいぶ私は混乱しているようだ。

マネージャーの三人と交流を深める為、私は葵ちゃんに連れられながらマネージャーの輪に入れてもらった。

マジ葵ちゃんいい子。

「確か去年同じクラスだったよな。あたしは瀬戸みどり」

そう言ったのは瀬戸さん…みどりさんで。

瀬戸さんと呼ぼうとしたらみどりでゴリ押しされた。

「覚えてくれてたんだね」

意外にも彼女は私の存在を知っていた。

私はいつだって女番長の名にビクビクしていましたがねっ!

案外優しい子なのかもしれない、うん。

「私は山菜茜。よろしくね」

彼女は茜でいいよ、なんて言いながら常に持っているカメラで一枚写真を撮った。

誰得ですか。

何故私を撮った、心霊写真の番組にでも投稿するのか。

CGではないけどこれは多分ダメだと思うよ、うん。

「悪いんだけど茜ちゃん、私、写真嫌いなんだ、データ今すぐ消してちょうだい」

どうして?なんて可愛らしく首を傾げる姿は森ガールの様で可愛いのだが、やっぱり写真は無理だ。

「私の写真をネットに晒すだとかマジ勘弁してください」

そんな事より最近私リア充過ぎやしませんか?

初彼出来て、女の子の友達ができて。

にやけが止まらないわ。






マネージャーってなに?おいしいの?


(鬼道監督は私が葵ちゃんの手を振り払えないと分かっていてこんな事を…。)

(なんて悪代官なの!)



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