思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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「でも、まぁ、それなりに毎日が楽しいよ、充実してて」
充実の類義語は忙しいである。
「練習、頑張ってね」
私は蘭丸君にそれだけ言うとベンチの方へと向かった。
イシドさんが何をしたいの分からないと言う鬼道監督。
そうでしょうね、私もよく分かりませんから。
メル友なのに分かりませんからね。
プライベートな事は触れてもいいのにお仕事に対して触れちゃいけないみたいだ。
まぁ、立場上当然ですかね。
「私がまた潜入しましょうか?」
鬼道監督に聞こえるように言えば顔がこちらを向く。
もちろんこちらを向いたのは鬼道監督だけじゃない。
音無先生や、マネージャーの3人も私を見た。
「必要ない」
鬼道監督は一言、咎めるような声色で言う。
「どういう事?」
不安がに揺れる瞳。
「イシドさんは私の貞操の恩人なんです」
不安感?猜疑心?の色が濃く映る瞳が私を見ていた。
むしろ先ほどよりは怪訝そうだ。
うん、まぁ、二重スパイ的活動していたのは元々全員の目の前で言おうとしていたんだけどね?
でも貞操の危機については特に言う気にならなかったというか、実は忘れいていた。
私のやろうとしていたことなんてイシドさんはすべて分かっていた。
今になっては彼が切ったのは首じゃなくてトカゲの尻尾だったらしく…。
彼が私をわざと逃がしたということは分かっている。
「あの人はいい人ですよ。たとえ悪の道にそれていても私の中ではいい人です」
いい人かどうかは瞳に現れると言う。
瞳に現れるというが、彼の瞳はまさに善人の瞳だった…って言う程までに善悪はっきりした人間に関わってもいないから自信を持って威張れる事でもないが。
少なくとも私の中ではいい人だ。
私にとって私を助ける人はいい人だ。
それでいいじゃないか。
…私が賢者モードで話に夢中になっている間にいつも何やらグラウンドにいる人数が増えていた。
おいおい、これはどういうことだ。
南沢先輩が現れたなら早く教えて下さいよ。
一人賢者モードやって恥ずかしいわ。
なんだよ、みんな向こうに視線行って私の話あんまり聞いてなかったろ。
くそ、ちょっと切ない、しょぼーん。
個人的に南沢先輩好きだ。
いや、恋愛感情じゃないよ?
人間として好きなのよ?
確かにフェロモン男だけどもね?
確かにMcdreamy(色男)だけどね?
南沢先輩まじいい人なのよ。
こう、紳士っていうのかな?
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