思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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そこから一気に逆転した。
雷門が勝ち越し、準決勝を勝ち抜いた。
次は決勝戦だ。
勝利を知った途端に松風君は剣城君に抱きついた。
この間は影山君が松風君に抱きついていた気がする。
剣城君はゆっちー一筋だし、ゆっちーは私とリア充…。
すごく一方通行だと思う、うん。
というか、サッカー部って個人的にホモいると思うんだ。
だって世界のやつとか見るとゴール決めるといきなりユニフォーム脱ぎだして見せびらかしたり、抱きついたり…。
絶対あれホモだと思った。
そう思っちゃうのは私だけ?
「思い残す事はないのに…。天馬、どうしよう…。僕はまだサッカーがやりたいよ。サッカーがやりたんだ」
「出来るよ、絶対!全力を尽くしてあれだけ戦えたんだ」
松風君は雨宮君の手を掴み、体を起こさせた。
「きっと元気になって、またフィールドに戻れるよ!全力を尽くせばどんな困難だって飛び越えていける、それを教えてくれたのは太陽じゃないか!」
「天馬…」
「そしてまた一緒にサッカーしよう。俺、太陽が戻ってくるのずっと待っているから!」
雨宮君は握られた松風君の手に自分の手を重ねた。
「分かった…天馬。病気になんて負けない。練習を積んで、僕は必ず戻ってくるよ」
「約束だよ、太陽」
ぐっと握った手に力を込め、雨宮君を立ち上がらせた。
会場から惜しみない拍手が割れんばかりに鳴り響く。
まるで誕生日会でクラッカー鳴らされているみたいな大きな音。
突然拓人君が倒れた。
「拓人君…?」
拓人君が倒れるのを見るのはこれで二回目だ。
剣城君を初めて見たあの日以来だ。
慌てて皆が拓人君に駆け寄る。
サッカー部にホモがいるんじゃない、ホモがサッカー部にいるんだ
(私の心臓を君に…、)
(私の心を隠語に使って言ってみたい。)
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