思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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410号室。

拓人君の病室。

拓人君の足には包帯が巻かれていた。

吊るされていないだけだいぶマシなんだと思う。

足はともかく、頭が無事で何よりだ。

別に頭が無事とか言って頭がおかしい人的なアレじゃないからね、ただ単に純粋に心配しただけなんだから。

「あの時とは逆だな…」

拓人君は目を伏せがちに言う。

憂いを帯びた瞳になんだか申し訳なくなった。

「え?」

「小学校の頃、俺を庇って怪我した時は泉が入院していただろ?」

ああ、あれか。

拓人君が誘拐されかけて、私が男に噛みついて、それでお腹切られちゃったんだっけ?

傷痕はしっかりとお腹に残っている。

覚えている限り私は負け組というやつだが、これは多分忘れるべきではない。

傷はその人がどんな人生を歩んできたか分かるものだし、人生の教訓でもある。

「あの時、拓人君はこうやって手、握っていてくれたよね…」

私は拓人君の手を取り、きゅっと両手で握った。

「あれって結構安心したんだよね…。どんな感じ?」

どんな感じとか何処のセラピストだよ。

あ、それとも情事に気持ちいかどうか聞く野暮な女の様にも思えてきて、なんだかそんな事考えている自分最低だなって思った。

「少し、照れるな」

はにかんだ拓人君は大分幼い頃の面影を残していて、なんだか懐かしくなった。

「え、照れてるの?かわいー」

最近のいつもの調子で言ったもんだから拓人君はちょっと驚いた顔。

そしてたちまちその顔は赤くなっていく。

「か、かわいいとか言うな!」

おお、赤くなったぞ。

ホント初心で可愛いわ。

なに、天使なの?

個人的に言えば初心な子マジ可愛いと思います。




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