思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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多分天使なんだと思います。

「分かってる分ってる、可愛いよりカッコイイがいいんだよね。大丈夫、十分カッコいいから」

可愛いと言われる男子の対応パターンは乙ゲーで予習済み。

でも最近の男の子はかわいいって言われても嬉しいって喜んでいた画面越しに見た笑顔を思い出す。

それはきっと彼らが高校生だとか、大学生だとか義務教育をすでに終えたからかわいいだとかからかいだったとしても大人の対応をとれたのかもしれない。

中学生への対応と近年のお兄さんたちの対応は別らしい。

ほら、もっと真っ赤だ。

拓人君はホント分かりやすくて助かる。

単純、というにはちょっと違うけど。

長年傍にいるお陰か、大体の行動パターンと性格が分かるようになった。

「早く治るよう祈ってるね」

なんて言って握った拓人君の手を利用して神様に祈るように、握る手を持ち替えてみる。

所謂恋人繋ぎだが、私からすればただ祈っているとしか言いようがない。

言い訳はしっかり用意してある。

「ちちんぷいぷい、ちちんぷいぷい、痛いの痛いの、飛んでけー」

「子供みたいだな」

普通の反応でよかった。

これで無言になられると凄く気まずかった。

これでお前の頭の事か(頭がイタイ的な意味で)って言われても凄く困るんだけどね。

今ではもう誰も言わなくなっちゃった言葉。

所謂死語ってやつかな?

言葉は日々変わっている。

根本は変わっていないけども、確実に使われなくなっている言葉がある。

「えー、じゃあ、悪い夢悪い夢消えろ、いい夢いい夢残れ」

「それもおまじないか」

「うん、おまじないだよ」

…そうだ、いつまで経っても居座ってたら迷惑だ。

「じゃ、そろそろいくね。今度はなんかお土産持ってくるよ」

握っていた手を離し、私は立ち上がった。

何もあげられないのが申し訳ない。

女の子の友達が少ない所為か、お菓子一つありやしない。

次はなんか作ってこよう。

絶対作ってくるわ。

「お大事に」

「ああ」

私は病室を出た。

ゆっちーといちゃつく計画を立てながら病室に向かう途中、どうせいないだろうと勘ぐって238号室を覗いて見ればなんと太陽君がいた。

おお、珍しい太陽君がいる。




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