思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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315号室、いつもの病室で、大分通い慣れた。
それはもう私が階段から何歩歩けばゆっちーの病室に着くか分かるくらいに慣れました。
これなら目を瞑っても行けますね。
ドアをノックして中に入ればゆっちーがいて。
いくらリア充とは言え、部活が終わった後に剣城君に内緒でこうやっていちゃつくのだが、最近剣城君は部活サボってどっか行ってるからゆっちーといちゃついている時に鉢合わせするリスクは非常に高い。
いや、サボっている間にお見舞い来てればリスクはかなり減るか。
ってことで存分にリア充しますよ。
慣れた挨拶をして、椅子に座る。
「リア充って何するんですか?」
私は思い切った事を聞いてみた。
ホントなら予めググるべきだったと思う。
乙ゲーでもギャルゲーでも大体付き合うまでの過程を楽しむものであって、付き合った後の事はそれ程詳しく書いていない。
このままだと私とゆっちーのお付き合いが老後の安定した夫婦になってしまう、というかまさにその状況。
「普通の恋人って何してるんでしょうね」
よく分らないや。
「泉ちゃん」
「何でしょうか?」
「俺がキスしたいって言ったらどうする?」
…キス、だと!?
リアルにガタッと音を立てて立ち上がってしまった。
椅子が当たって痛かった。
それよりも脳へのダメージの方が大きかった。
「ななな何ですか急に!!ゆっちーなんか卑猥です!」
「卑猥って…」
「エロスだエロス」
ただでさえ声が色っぽいと言うか…。
エロ声のエフェクトかけてるのか、ワザとエロ声なのか今でも謎だ。
「キス、やだ…?」
眉を下げて申し訳なさそうな顔をするゆっちー。
「ゆっちーはズルい」
「うん?」
ゆっちーは首を傾げた。
「ゆっちーは私がその顔されると拒否できないってわかってますよね…」
「そうなの?」
そうやってはぐらかしたり、気づかないふりは得意技。
「でもキスには興味があります」
これでも私は年頃の女の子ってやつだ。
思春期特有の異性に対する興味だ。
一年生の頃保健体育で性について散々習った。
当時の私としては非常に理解に苦しむものだった。