思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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虫のいい話にも程がある。
何故私を誘ったんだ鬼動監督。
確かにサッカー部の人数が増えて大変になったけれども。
そうだ、こういう時は連絡しろって言ってたな、剣城君。
よし、剣城君を呼ぶとしよう。
呼ぶ事に迷惑にならないかなんて抵抗力はない。
善人ぶる余裕はいつだってないし。
ここで迷惑になるからなんて思って連絡しなかったら後が怖いし、あんな偽善者を装う程の器用な人間じゃない。
視線は彼女たちから外さずにこっそりとポケットに入れる。
こっそり呼ぼうとしたが、発信した瞬間に気付かれた。
「何してんの?」
やっぱりポケットに手を入れるのをバレないようにするのは難しいらしい。
助けを呼ぶなんて慣れてないものだから簡単に気付かれる事はある程度予測できた事だ。
やっぱりスカートのポケットが後ろにくるようにしないとバレてしまうようだ。
外人がズボンの背中の方に拳銃をしまう様にすればいいのか、なるほど。
スライド携帯じゃ間違えて押しちゃう可能性があってとても不安だが。
こういう時折りたたみとか羨ましくなる。
う〜ん、やり方に改良が必要なようだ。
携帯は彼女らに奪われ、壁に投げつけられた。
ああああっ!
アンが、私のアンがぁぁぁ…。
アンって言うのは携帯の名前だ。
勿論アンは愛称で本当はアンドロメダの事だ。
アンドロメダは人類の支配者って意味で、携帯で人間が振り回されてるという皮肉的な意味で付けたものだ。
アンドロイドとかの携帯なら尚且つ名前が似合っただろうに。
壁に当たったアンドロメダ(携帯)はカシャンと悲鳴をあげて無残な姿になった。
人類の支配者弱いな、なんて思って変な笑いが漏れそうになる。
後2年はもっただろうに…。
私の携帯が決まって投げられてご臨終している事に気付いたんですが、どういうことですか。
剣城君といい、私といい、彼女らといい、みんな投げるのが好きなのね。
携帯は投げるものじゃないって昔ドラマでやってたのにそれはもう忘れ去られたって事ね。
「調子に乗るなよ」
ギッと、彼女は私を睨みつけてくる。
不良にカツアゲされるガリベンの気持ちがよく分る。
不良にカツアゲされる経験はないが、多分こんな気持ちだ。
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