思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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デジャヴ感満載な壊れた携帯の部品拾い。
「まじ泣いちゃいそー」
いや、泣いちゃいそーじゃないよ、マジ泣きだよちくせう。
メールの着信音にしていた大好きだーっ!ってひたすら30秒叫ばれ続けるやつは公式のやつで、月315円プラス料金払ってダウンロードしたやつだ。
SDに入れられないようなファイル設定になっているためにデータなんて残ってやいやしない。
最初からやり直しとかマジ泣くわ。
マジ涙目。
画像とかは携帯の本体とSDの両方に入れてるから平気だけど、電話帳は困る。
メアドを変える前のデータはあるがそれ以降はバックアップデータがない。
つまり剣城君やイシドさんのデータは新しいからない。
勿論青木さんと登録した黒木さんもデータもない。
まぁ、彼に限ってはどうでもいいのだが。
ちょっと一人になりたい気分なのでスカートの裾を持ち上げ、そこにばらばらの携帯の部品を入れて歩きだす。
スカートの裾を持ち上げるのはなんだかはしたないな、なんて思う。
なんだか小さい頃に戻った気分だ。
よくスカートの裾を持ち上げてそこに摘んだ(摘んだなんてかわいいもんじゃない。私はかなり暴力的に摘んだ。正確にはむしったって表現する方がしっくりくる)花を入れたもんだ。
当時はパンツが丸見えだろうとあんまり気にならなかったが、今は気になる。
これは人の目に毒だ。
公害だ。
携帯の部品を持って私はトイレに向かった。
トイレの水はあまりきれいとは思えないが致し方ない。
鼻から垂れていた血は乾きかけていて。
水に比べて血は随分と乾くのが早いと思う。
鏡を何度もチェックしながら拭う。
血も落ちたことだし、後は携帯だ。
携帯、携帯…ああああアンドロメダァァァァーっ!!
ショックすぎる。
アンドロメダが…。
やばい、涙が…。
ご臨終だ。
携帯を改めてハンカチで包みながら、最初からこうすればよかったと思った。
どうせならハンカチで涙を拭えばいいのだが、そんな乙女チックな事やる前に携帯のために使用された。
携帯が壊れたことがショックじゃない。
いや、ある程度ショックはあったんだけど、これで剣城君やイシドさんとのつながりがなくなってしまったんだな…と思うと、無性にさみしくなった。
こんな電子機械のつながりでも、私はそれで安心していたんだと気付いた。
こんなものに支配されるつまらない人間。
アンドロメダ…末恐ろしい子…!
近代社会って怖い。
座ったら仕舞い込んだ壊れた携帯の部品が刺さって痛かった。
まじ泣いちゃいそー
(あああぁぁぁぁーーーーんんんっ!)
(べ、別に喘いでいるわけじゃない、アンドロメダの愛称を叫んだだけなんだからね!)
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