思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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剣城君がいい人だって皆に知って欲しかったけど、段々チームに馴染んでいく彼を見て少し腹が立って、悔しくて悲しかった。

嫉妬にしてはロマンスに欠ける、ただのくだらない独占欲だ。

よくいるうざいぶりっ子の言うなんとかちゃんの友達は私だけなのっ!ってヤツだ。

友達100人できるかななんて小学校に入る前に教わったフレーズだが、100人なんて私には無理だ。

でもせめて片手分の友達は欲しいと思う。

目の前で戯れている剣城君がチームメイトと楽しそうなのは何よりだなんて言ってる場合じゃない。

私が完全ぼっちフラグだ。

特にお昼ぼっちフラグだ。

剣城君はお昼誘われたらホイホイついていってしまうのだろうか。

女の私より(人間として見てくれているのは知っているが…いや、そもそも人間ではなく犬かもしれない)やっぱり同じ一年生で男の松風君と一緒の方が楽しそうだ。

「生まれてくるなら男に生まれたかったなー…」

私はポツリと呟いた。

そうすれば皆とサッカー出来たかもしれないし。

女の身体よりもずっと便利で負担が無さそうだ。

つくづく女の身体は不便である。

女である利点なんてマラソンの距離とかが男子より短くなるとかくらいかな。

女だからってひったくりに遭ったり、お茶を入れろだとか雑用と言う名のセクハラである。

その代わり女を理由にお酌させるのをセクハラで訴える事ができる。

蘭丸君がセクハラで訴える事が出来るかは謎だ。

男の娘だし。

でも遺伝子的には女の方が優れてると聞く。

理由は男には子供が産めないからだそうだ。

話の脱線は私の悪い癖。

…とにかく私のくだらない独占欲を自重させたい。

ホントどうにかならないかな。

音無し先生が休憩と声をかければ、ボールを止め、息を整えながら集まる部員達。

もし仮に自分が男だったとしても自分がはあはあしながらマネージャーに近寄る姿は変態にしか見えないかもしれない。

だめだ、きっとだめだ。

速水君みたいに殴ったら骨折しそうな男子や、松風君や西園君、影山君みたいに害のなく可愛かったりすればはあはあしてても変態さがないんだろうな。

ダメなのは私の脳かもしれない。

救急車か、保護が必要だ。

保護と言えば剣城君が私に言った言葉を思い出す。

どうして剣城君は私を助けてくれるんだ。

今となっては出会い方がどんなんだったか思い出そうとしないとなかなか出てこない。

そういえば階段から落ちたんだ。

現在の関係と出会い方が結びつかないや。

不思議なもんだ。

「どうして助けてくれるの?」

「それはあんたに守るって言ったからだろ」

私は剣城君にタオルとドリンクを渡しながら守ると言われた放課後の事を思い出した。

確かにそんなことを言われたような気もするが、そこに義務なんてものはないはずだ。

「律儀だね…。無理に私を守ろうとしなくてもいいのに…」

なんだか申し訳なくなってくる。

剣城君にはなんのメリットもないのに。

こういうのって損得って関係ないってことなのかな…?

うわ、だったら私かなり汚い思考だ。

「あんたは仮にも兄さんの恋人だ。あんたに怪我されると兄さんが悲しむ。だから守るんだよ」

フイッっと顔を背けられた。

仮にもなんて失礼だ。

「ゆっちーの笑顔の為、ね…」

ちょっと寂しいかな…なんて。

何考えてるんだろ、私。

何が寂しいだ。

意味分んない。






自分が分からない


(最近たまに思うこと。)

(自分がどうしたいのか。)



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