思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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全てか終わった。

何もかもが元通り…。

いや、フィフスセクターなんてなかったかのようだ。

私の危惧していたような事にはならなかった。

サッカーは、守られたのだ。

強さや権力の為のサッカーではない。

誰もが愛し、楽しむサッカーになった。

最高の終わりだ。

倉間君が蹴ったボールが、パスと言う浜野君の頭上を大きく通り越していく。

倉間君にしては珍しいミス。

「どこ蹴ってんだよー」

口を尖らせて浜野君が文句を言う。

「いや、あれでいいんだよ」

高く蹴りあげられたボールはまっすぐ私の手に収まった。

「サッカーやってみたいんだろ」

こっちに歩いてくる倉間君の視線の先にいるのが私なのだから私に言っているんだと思う。

あれ、なんて倉間君知ってんだろ。

私は首を傾げた。

「決勝戦の後半で言っただろ」

忘れたのかよ、なんて言うような顔で見上げてくる倉間君はやっぱ小さい。

ああ、あれか、聞こえていたのか倉間君。

「態度だけはLサイズなんて言ってゴメン、器もLサイズだね」

どんなお世辞を使ったって身長がLサイズなんて言えない。

何しろ私より小さいからね。

私はボールを持ってフィールドの中央に立った。

丁度、剣城君と向かい合う様に。

その距離は多分ソードラインくらい。

互いが剣を振り回しても剣がぶつからないくらいの距離。

「さぁ、勝負だっ剣城君!」

びしっと指を指して勝負を挑む。

まるで何処かのマンガに出てくる主人公のおバカな自称ライバルのモブみたいだ。

「あ、でもスライディングだけはマジ勘弁して下さい」

痛そうだし、避けられる自身皆無だし。

「その格好でやるつもりか」

「確かにローファーでやるのは問題あるよね、うん」

でも、大丈夫、スパイクがなくてもほら、体育用の外履きあるから!

「そうじゃねーだろ」

「じゃあ、なんだい」

「その…、」

一瞬目があったかと思えば視線を落とし、そらす。

「恥?何を恥じるというのだね」

「何キャラだお前」

「話を逸らさないでいただきたい」




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