思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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「そんな強気な態度でいいのか?だが凄く淫靡な響きだ」
そりゃどうも、ロリコン。
子供に悪戯して楽しいのか。
「これからお前の体に傷をつけるって言ったら?」
なるべく視線は男に向けない。
男に向けたら絶対ソーセージを目にしてしまう事は分りきっているから。
もうソーセージ食べれないや。
「きっと将来痕が残りますよね」
男が私の首に何か当てたのは感じた。
ソーセージじゃないのはありがたいのだが、うん、これはこれで困る。
「人間は出血し出してから1時間くらいで死亡率が90%になるらしい…動脈だったらどれくらいか…試してみるか?」
え、是非とも遠慮させていただきたいんですが。
私ってなんでこう問題ばっかなんだ。
小学校の時にできたお腹のこの傷の時だってそうだ。
余計な真似の結果だ。
ああ、私ってホントバカ…。
「何泣いてんだ?」
瞳から溢れた涙は私の長い前髪を濡らし、頬に貼りつき、凄く鬱陶しい。
死にたい訳でも、死を恐れているワケでもない。
私の人生は幸福とちょっとした不幸で満ち溢れ、充実していたんだと思う。
特別幸福でも、特別不幸でもなく、全てがありきたりなものだ。
私の死に悲しんでくれる人がいる。
それで十分幸せだ。
ただ、その人が傍にいない事が寂しいし、同時に死ぬ姿を見せなくていいという安心感。
でも、それでも何か特別な物が欲しかった。
栄光だとか、名誉だとか、アニメに登場する主人公のような肩書きを欲しがったり、力を欲しがる事は多々あった。
私の憧れ。
ヒーローに憧れていた。
今の私の性格はここからきていると言ってもいい程に恋い焦がれ、憧れていた。
悲劇の主人公みたいだ、なんて…。
「私は馬鹿な子だった事を思い出したんですよ…」
あ、主人公は死んだりしないか。
主人公が死ねば物語は終わる。
自分を物語の主人公に重ねた事があるかと問われれば、勿論ある。
そんな人にはセラピーをお勧めする。
私は目を瞑った。
次に目を開けた時にいつもの変わらない風景があると信じて。
間違えて死の近くに引っ越しちゃったみたいね、私
(悪い夢悪い夢消えろ、いい夢いい夢残れ。)
(3度唱えればおまじないは叶っている。)
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