思い出した、人類は皆平等だった

□思い出した、人類は皆平等だった
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どうやって助けられたかはいまいち知らない。

というか覚えていない。

というかそもそもあれは夢だったのかもしれない。

だってやっぱりおまじないの通りだ。

目を開ければいつもと同じ景色。

私の部屋の天井…じゃない。

私の部屋の天井ではないが、見た事ある天井だ。

もう一度目を瞑り、目を開ければ変わらない天井。

やっぱり病院のようだ。

何故だ。

現実と受け入れたくない、私が最後に見た光景や体験は現実であってほしくなかった。

ただの悪夢だったらいいのに。

ここが病院ということは現実だということを受け入れなければいけないんだ、そんなの冗談じゃない。

体を起こせばベッド脇にお父さんとお母さん。

目を覚ました私に気付いたのはお母さんで。

「大丈夫?気分はどう?」

「大丈夫だよお母さん」

そう、と返してお母さんは私を抱きしめた。

話し声にお父さんの肩が揺れて、やがて私を見つめた。

覚醒し、私の名前を叫びながらお母さんごと私に抱き着いてきたお父さん。

相変わらず鬱陶しいが、それがなんだが幸せだった。

いつもなら恥ずかしいだとか言って押しのけようとするが、今回ばかりは黙って抱きしめ返す事にした。

何度も名前を呼んで存在を確かめるみたいに。

まるであの時みたいだ。

あの、時…。

やっぱりあれは夢じゃなかったんだ。

その証拠に手首に縛られた跡がある。

夢じゃない、現実だ。

それが本物だと分かった途端に眩暈がしてきた。

規律性低血圧だったら笑える。

受け入れられるほど私大人じゃないよ。

パーソナリティー障害かな?

自分の感情が分からないや。

「大丈夫だよ、お父さん、お母さん」

大丈夫だなんて信じてもらえないだろうけど。

大丈夫と言う人の大丈夫こそ信用できないものはないけれど。





受け入れられるはずがない


(この歳で露出狂に拉致監禁されるとか、)

(他の人ができる経験じゃねェ…。)




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