思い出した、人類は皆平等だった
□思い出した、人類は皆平等だった
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一応私が寝ている間に検査とかは済んでいたようで、身体的な傷は首にある火傷くらいらしい。
その火傷もスタンガンによるものだ。
幸か不幸か記憶はある。
たまにスタンガンで記憶を失う人がいると聞いた。
どうやら脳幹にあるレセプターという所に電気的刺激を与えることによって、一番新しい記憶を一部失うらしい。
是非ともそうなりたかった。
そうすれば私はソーセージだって今食べれただろう。
最近のスタンガンは素晴らしいらしく、相手に押し付けた瞬間にそのスタンガンのシリアルナンバー付きの細かく薄いラベルのようなものがばら撒かれるらしい。
知らなかったわ…。
その小さく薄いラベルのシリアルナンバーから業者と小売店、購入者が特定され、犯人は私が誘拐された翌日に捕まったらしい。
その事をその日の2日後に私は知った。
つまりはまぁ、私が目を覚ましたのは、事件の日の3日後と言う事だ。
そしてその日に刑部さんと他の警察の人が私の話を聞きに来た。
剣城君が椅子に縛られていた私を助けたのもその時に聞いた。
精神的にも、記憶的にも問題がない為に、退院の許可が下りた。
拉致監禁されてアレ見ちゃった上に暴行加えられかけた女の子の精神状態と思えないほど私はしっかりとしていた。
というか、未だに事実を信じられない感じだ。
元気すぎる私を見る大人たちの目が異様な事は気にしない。
私の目が覚めたと聞いて、ゆっちーやら太陽君やらがお見舞いに来てくれた。
太陽君は絞め殺されるかと思うほどの勢いで抱き着かれた。
男性恐怖症になっているかもしれないなんて事を考えていないかのようなハグにはもう別の意味であの世を見てしまったような気がする。
見張り役の冬花さんによって太陽君の私殺人を未遂にしてもらえた。
危うく挿管経験しそうになった。
ゆっちーはふにゃりと疲れたような、安心したような笑顔だった。
だいぶ私を心配してくれたようだ。
かなり焦燥していたようだ。
私なんかの為に申し訳ないと謝った所、私なんかじゃない、バカと罵られてしまった。
世の中美しい女性に罵られると快感を得る人種がいるそうですが、もしかしたら私もその人種かもしれない。
ゆっちーに罵られて不覚にも嬉しいと思ってしまった(ゆっちーは男性だけど)。
とんだドMのド変態だな、私!
ゆっちーからも剣城君に助けてもらった事を教えてもらったのは言うまでもない。
誇らしげなゆっちーは非常にかわいかったです。
病院出た後の携帯は怖かった。
携帯の着信履歴は最大50件まで表示されるがほとんど拓人君と松風君で埋まっていた。
きっと50以上電話していたに違いない。
蘭丸君の名前を見るまで同じページしか表示されなくて壊れているのかと思った。
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