不浄の華は絶闇で毒を孕む
□不浄の華は絶闇で毒を孕む
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話など聞きたくないと言う様に眉間に皺を寄せ、端正な顔を歪める豪炎寺を見るのは気分が良かった。
それが妙に面白おかしかった。
いつから俺は他人の嫌がる姿に快感を得るサディストになったのだろうか。
いや、そこまででもないが。
どちらにせよ気分が良かったのには変わりない。
自分が優位な立ち位置にいるのがいいのかもしれない。
「放せ、円堂」
今度はしっかりとした声色で豪炎寺が言う。
「俺の仲間になれ。豪炎寺」
「仲間、だと?」
相変わらず豪炎寺の顔は険しかった。
「妹さんの事故...、」
その単語に豪炎寺は素早く反応し、胸倉を掴んでいた。
どうして知っている、と言いたそうだ。
だが俺の情報源などどうでもいい。
教える気なんてない。
「影山が関係しているらしいな」
その漆黒の瞳には悲しみや怒りというどうしようもない感情が大きく揺らめいていた。
一番感情的で、最も静かな激昂だった。
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