不浄の華は絶闇で毒を孕む
□不浄の華は絶闇で毒を孕む
1ページ/1ページ
すべてが一方的だった。
ふらりと俺は立ち上がった。
ああ、汚れた。
普段からタイヤで特訓している為、この程度の衝撃で痛みを抱える程軟な鍛え方などしていない。
「どうした、早く出て来ないと...潰す」
鬼道が再びボールを蹴った。
「こんなの...サッカーじゃないっ!!」
立ち上がった風丸は円堂の前に飛び出し、庇った。
ああ、可哀想に。
そして同時にコイツも仲間にしようと思った。
俺を裏切らないと思えたからだ。
昔から風丸は俺に付いて来た。
まるで依存するかのように。
中学になってからはあまり傍にいなかったが、それはきっと風丸なりの気持ちの切り替えなんだと思う。
「お前の気持ち受け止めたぜ。絶対このゴールは守ってみせるっ!!」
円堂は風丸を地面に横たえさせた。
「フン、一度として守れてないが」
実力の差を散々見せ付けられ、周りの仲間は皆倒れてしまった。
生徒達が諦めかけていた。
やっぱり無理なんだと。
その孤独感に負け、恐怖した目金はグラウンドから逃走し、ユニフォームを脱ぎ捨てた。
さぁ、お前の出番だ...豪炎寺。
劇的な結果を待つ
(劇が終わるまで、)
(俺はオレを演じ続ける。)
.