不浄の華は絶闇で毒を孕む
□不浄の華は絶闇で毒を孕む
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円堂の歩調に合わせてロウソクの炎が揺らめく。
円堂は慣れた様子で闇に突き進む。
薄暗い石の階段を下りた先にあったのは小屋の地下とは思えない開けた場所だった。
小屋の風貌や、石の階段に比べ、随分と近代的な施設じみた場所だった。
流石に自動ドアとまではいかないが、電気は通っているらしい。
どうやって地下にまで来させているかは豪炎寺には分らなかった。
「呼び出したのは他でもない。お前の本気を見たくなった。」
円堂は石の階段の最後の段まで降りると口を開いた。
「俺の本気...だと?」
「ああ、帝国との最初の試合の時のやつもそうだが、あれが本気じゃないんだろ?」
円堂はフッと自分より背の高い豪炎寺を見上げ、笑った。
「なぁ、お前の本気、見せてみろよ」
炎に揺らめく紅い瞳。
美しいと思った。
円堂はゴールの前に立つと豪炎寺に向かってボールを蹴った。
豪炎寺はそれを受けると、円堂を見た。
円堂は構えてはいるものの、グローブをせずにいた。
「グローブはしないのか?」
豪炎寺の問いに円堂は必要ないからな、とまるで馬鹿にしたような挑発的な態度だった。
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