少女XX
□少女XX
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ある日少女は自分と同じような生物を見つけた。
人間だ。
しかし決定的に違う事があった。
少女には本来人間に付いているような耳ではなく、獣の耳が生えていた。
そして少女の着るワンピースからは尻尾がチラチラと見えていた。
少女は人間ではなかった。
少女は遠くから蹴られている黒と白のボールを目で追いかけていた。
どうやらあれが噂のサッカーらしい。
なんとなくだが少女はサッカーを理解した。
そして少女は憧憬の籠もった瞳でその様子を見た。
ふと後ろにから足音が聞こえた。
少女はゆっくりと振り返った。
そこにいたのは先日襲い掛かって来た狼がいた。
しかし一匹ではなかった。
寄り添うようにもう一匹がいて、小さな狼が2匹いた。
数で勝とうなんて考えを持っているのかと思えば、どうやらその考えはないらしい。
先日襲い掛かって来た狼が少女の傍までくると少女に擦りよった。
まるで自分の匂いを少女につけるように、そう、犬のマーキングと一緒だ。
敵意の無いつぶらな瞳が少女を見上げる。
少女はしゃがみ込み、白く細い腕を狼に伸ばした。
狼は大人しく少女の腕を受け入れている。
君はひとりじゃない。
そう教えられているようだった。
私、友達ができました。
少女の友達
(私は、)
(ひとりじゃない。)
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