少女XX

□少女XX
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少女はいつも遠くから彼らのサッカーを見ていた。


彼らの言葉は今だ理解する事は出来ないがなんとなく彼らが発する単語と行動を覚える事はできた。


そして見ていればなんとなく楽しめた。


ある日、いつものようにサッカーの様子を見ていれば嫌な気配を感じた。


何処からか光が発生し、突然姿を現した11の個体。


少女は悟った。


彼らが発するだだならぬ嫌な気配から彼らが噂の宇宙人だと。


少女が宇宙人と仮定した彼らが人間に試合を申し込んでいた。


口論を暫くしたが、すぐに試合が行われた。


少女には何故彼らが口論するのか分からなかった。


言葉が理解出来ないから仕方がない。


しかし途中途中出てくる単語だけが記憶にあるものと一致した。


試合の決着はすぐに付いた。


圧倒的な宇宙人の力を見せ付けられ、人間は敗北したのだ。


若緑色の髪の彼が黒いサッカーボールを蹴るよりも早く少女は駆け出した。


黒いサッカーボールが破壊的勢いで敗北した人間の背後に聳え立つ建物に向かっていく。


少女は高く跳躍するとその黒いサッカーボールを若緑色の彼に蹴り返した。


衝撃的だった。


「!!?」


敗北した彼らも宇宙人の彼らも、少女の登場は予想していなかった為に喫驚した。


少女は軽い音を立て、着地した。


右足に痛みを感じた。


風に少女の飴色の髪と白いワンピースの裾が揺れる。


「お前は、何者だ」


若緑色の彼が問う。


少女はゆっくりと若緑色の彼を見た。


少女は彼の言葉を理解出来なかった。


自分の意志を伝えたかったが、方法が分からなかった。


少女はは喋ることが出来なかった。


「名前はなんだ」


少女は彼が発する言葉を理解できずに困惑した。


刹那、少女を守るように一匹の狼が割り込んできた。


「!?」


新たな邪魔者登場に彼らは驚いた。


《何故来たの?》


少女は狼に言った。


狼は言った。


《友達を助けるのは当然のことだ》


当たり前のように出て来た言葉に少女は胸が熱くなるのを感じた。



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