少女XX

□少女XX
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「まずは身体検診をしなければなりませんね。」


着物の彼は回転椅子から腰を上げ、歩き出した。


少女はレーゼに引っ張られながらもついて行く。


来た道を6分程歩き、さっきとは違う道を歩く。


しかし景色は相変わらず灰色の冷たいコンクリートだった。


着いた先には沢山の機械があった。


不思議と少女は機械の仕組みなどを理解してしまった。


人間の言葉を理解出来ないのにだ。


少女は次々とテストを終わらせていく。


1時間かかるテストを5分でやってのけたのだ。
更に胴体視力のテストも行う。


どんなに胴体視力が良くても32%しか正解出来ないのに少女は平然とこなしていく。


勿論正解率は100%だ。


少女は果たして何者だろうか。


疑問が増えていく。


そこで彼らは少女の脳の活動を見るため、少女をMRI装置に少女を寝かせた。


「動かないでくださいね。」


研究員のひとりが少女に言うが少女に言葉は伝わらない。


しかし少女はただじっとしていた。


元々少女は大人しいのだ。


研究員の彼らがコンピューターに表されたデータに驚いた。


「こっ、これは...!?」


白衣を着た研究員が困惑の声を漏らす。


「どうしたのです?」


着物の彼が研究員に問う。


「いや、ちょっと機械の調子が悪いようです...。」


少し焦るような仕草を見せた。


己の失態に焦りと不安、恐怖を感じているのだ。


「ちゃんと点検しろといつも言っているだろう。」


着物の彼の前で部下を叱る上司。


自分がちゃんと仕事をしているというアピールだ。


しかしそれが逆効果になる事をこの男は知らない。


「もしもこれが故障でなければどうなのだ?」


レーゼが問う。


上司の方の研究員が口を開いた。


「ありえません。ご覧ください。」


モニターを見れば広範囲に赤色が見られた。


「赤い部分が脳がより活発に動いている様子を表しています。通常の人間ならば5%から7%。アインシュタインでさえ9%。彼女はそれを遥かに上回っています。これ程までに脳が活発に活動しているとあらゆる発作などが起きますから絶対にありえません。」


そう言って装置を停止した。


少女が装置から出て来る。


少女は頭を押さえ、フラフラと不思議そうな顔で歩いてくる。


「彼女の事は任せましたよ、レーゼ。」


着物の彼はそう言うなり研究室を出て行った。







謎の少女



(もしかしたら彼女は、)


(人間じゃないのかもしれない。)








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