少女XX

□少女XX
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研究室からレーゼの部屋まで戻ろうと歩いていれば角を曲がった所で誰かにぶつかってしまった。


後方に倒れそうになるがなんとか持ちこたえた。


「アンタが新しく来たって奴?」


掛けられた声にぶつかった相手を見れば赤色。


グラン様と呼ばれていた人とはまた別の赤。


グラン様という人の赤は朱色の赤だが、彼の赤は紅色の赤だ。


グラン様と違ってちょっと高圧的だ。


言葉を覚えているがどの言葉がどのような意味を持つかが分からなかった。


そこで私は昨日見たこの状況によく似た電子映像の言葉を使うことにした。


『いってー。テメェどこ見て歩いてんだよっ!』


初めて聞くエミリーの声は思ったよりも幼かった。


そして思ったよりも口が悪かった。


エミリーの言葉に紅色の少年は呆気に取られた。


エミリーは更に言葉を続けた。


『今ので腕折れたかもしんねー。テメェ慰謝料払えよ!!』


言い切った彼女は首を傾げた。


言っている事とやっている事が矛盾していた。


「何している。」


聞こえた声には聞き覚えがあった。


見れば予想通りのグラン様だった。


「なんか用かよ、グラン。」


紅色の彼は不機嫌そうに眉をしかめた。


「何していると聞いたんだ。」


グランは険しい顔付きだ。


どうやらグラン様と紅色の彼は敵対関係にあるらしい。


「喧嘩売られただけだ。」


「へぇ、君が売ったんじゃなく?」


猜疑心を孕んだピーコックグリーンの双眸が細められた。


「何だよ、グランも俺に喧嘩売ってんのか?」


「敵を作るのは得策じゃない。」


行くよとエミリーの手を引いてグランは歩き出した。





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