少女XX
□少女XX
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エミリーは大抵いつもレーゼの傍にいた。
まるでカルガモみたいにだ。
大抵いつもと言うが、24時間体制でSPの如く一緒にいるわけではない。
レーゼはレーゼでそれなりに用というものがある。
「ねぇ、ガゼル...。レーゼ、時々いなくなるよね。どうして?」
エミリーはダイヤモンドダストのキャプテンのガゼルと共に紅茶を飲んでいた。
何故一緒に紅茶を飲んでいるかと言うと、数十分前に暇なので図書館の本を読破しようとしていた時にこの間の本を返しに来たガゼルと会ったからである。
「やることがあるんだろう」
「やることって?」
エミリーは首を傾げた。
「それはレーゼに聞け」
「レーゼは今いないよ?この建物の中にはいないの。もっとずっと遠くに行っちゃうの。レーゼは私に正直でいろと言うくせに私には何も教えてくれないの。私に嘘吐く」
エミリーは無垢なエメラルドの瞳でガゼルを見上げた。
「それは君を想っての事じゃないか?嘘を吐けば子供は夜安心して眠れるだろう?」
「でも私は一度も寝た事がない」
「夢を見ないのか?」
夢を見ない時は時間が経過していないように思えるからだ。
「違うの。ずっと起きているの。146時間53分2秒ずっと」
具体的に出された数字には大して気にも止めない。
「眠れない理由は不安があるか疲労がないからだ。ただ横になって目を瞑ればいい」
「不安と疲労?」
エミリーは復唱した。
「私とサッカーをしようか。ルールはまだ知らないだろう?」
「うん」
エミリーが答えるとガゼルは3冊の本をエミリーに渡した。
「これを読むといい」
全部で300ページ位あった。
エミリーは表紙を見て首を傾げた。
「猿でも分かる?猿は人間の言語を理解する程の知能はないよ」
「誰でも手軽に理解出来るという例えだ」
ガゼルの説明にエミリーはふーん、と相槌を打つだけだった。
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