少女XX

□少女XX
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感情に名前をつける行為が愚かな事だとある本に書いてあった。


だがこの気持ちを誰かへと伝える為には共通の名前が必要だった。


だが気持ちをどうやって人間は伝えたのだろうか?


またそれが同じ気持ちだとどうやってその気持ちを伝達し、理解させ、共有したのであろうか?


人間とは日々進化していくものであり、その進化とはどのように行われるか謎である。


その進化はほんの一瞬で行われ、無意識の内にできてしまったりする。


気持ちの伝達とは不思議なものだ。


「私は、怖い」


エミリーは涙を流しながら言う。


エミリーの感情に反応するかの如く電気が瞬く。


レーゼはそれに戸惑い、周囲を見回した。


だが原因を突き止めることなど出来なかった。


レーゼは再びエミリーを見た。


「何が怖い?」


「...全て」


エミリーは小さく呟いた。


それでもエミリーの声はレーゼに届いていた。


全て、と言われてもレーゼにはどうしたらいいなんて分からなかった。


ただ、エミリーの傍にいることしか出来ない。


それが妙にもどかしかった。


点滅する光がどうも不快だった。


「エミリー、」


名前を呼べばエミリーはギュッとレーゼに抱き付いた。


レーゼは戸惑いながらエミリーを受け止めた。


やはりどうしたらいいかなんて分からなかった。


またこの感情も。


やはり彼女は...エミリーは、特別な存在なのだ。







感情に名前をつける行為は愚かだ



(だがこの感情をどう表現すればいい?)


(不思議と有理化させたかった。)








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