少女XX

□少女XX
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「レーゼはいつも何処に行っているの?」


エミリーはレーゼに唐突に質問した。


「どうしてそんな事を聞く」


「知りたいから」


「前も言ったがそれは教えられない」


学校を破壊しているだとか道徳的に反してる事をしているなんて言えない。


「どうして?」


エミリーは首を傾げた。


「よくない事だからだ。」


「よくない事?」


だがよく考えてみれば道徳だとか常識だとかはエミリーは分かっていない。


知っているのは辞書に載っているような知識だけだ。


だったらしている事を知られようと問題ないのではないか?


最初からエミリーはエイリア学園しか知らないから正しいと思っているものも必然的にエイリア学園になるのだ。


選択肢が最初からないのなら問題ない。


「そうだ。だが我々にとっては必要な事だ。」


以前人間の悲劇についてエミリーは学んだ。


「必要な犠牲?」


「そうだ」


必要な犠牲だとレーゼは復唱した。


エミリーはちょっと考えるような仕草をした。


「犠牲を無くすことは出来ないの?」


エミリーの言葉でエミリーの人物像がはっきりした。


エミリーは穏和で無知で博学で天才だ。


例えるなら歴史上に存在しないタイプの善人というやつだ。


お人好しでちょっとぬけてる少年誌に出てくるような主人公と一緒だ。


架空の人物像に会えるとは感激だ。


「二兎を追う者は一兎をも得ず...どちらも救おうとすればどちらも救えない。」


レーゼはそう言った。


エミリーが顔を歪めた。


その理由がレーゼには分からなかった。











二兎を追う者は一兎をも得ず



(一方を選ぶか、)


(どちらも選ばないか。)








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