少女XX

□少女XX
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エミリーは何も掴めなかった手をゆっくりと降ろした。


「レーゼ...、」


エミリーは目を瞑り、集中してレーゼの心臓の音を探すが見付からない。


いつも聞こえていた筈なのに。


エミリーは今混乱の中にいた。


「ど、して...?」


どうして心臓の音が聞こえないの?


それほどまでに離れていってしまったのだろうか?


それとも...、


以前敗北すると処分される事をグラン様に聞いた事がある。


ちょっと悲しそうな顔をよく覚えている。


処分、されちゃった?


みんな、死んじゃった...?


それを考えた瞬間、全身の毛穴がゾワリとして、体内の血液が煮沸するように熱くなった。


「ゃ、」


電灯が点滅し始めた。


誰かがイタズラしているみたいに点滅する。


「やだ、私を置いてかないで...傍にいてよ...、」


不規則に点滅し、明暗を変えるそれはまるでポルターガイストのようだった。


皆混乱状態になる。


「ひとりにしないでっ!!」


エミリーの悲痛な叫びに反応し、電灯が割れた。


混乱が生じる。


悲鳴と、叫び声が響く。


恐怖、困惑、喫驚。


その感情が渦巻いていた。


エミリー自身割れた照明に驚いていた。


ああ、やってしまった。


後悔した所で戻りはしない。


感情が一気に冷める。


エミリーはただその場に座り込んでいた。


「貴方は何者なの?」


エミリーに歩み寄った一人の女性...吉良瞳子が言う。


エミリーは彼女を見上げた。


「私、私は...」


エミリーは考えた。


自分は人間ではない。


しかしただ完全な人間でないだけでほとんどが人間だ。




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