少女XX

□少女XX
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影山からエミリーを取り戻したものの、果たしてこれでよかったのかは謎だ。


エミリーは心を失い、乏しかった表情が更に乏しくなり、まるで人形のようだった。


「エミリー、」


呼び掛けても反応はない。


「すまない」


鬼道はエミリーに謝り、腕を挙げた。


パシンッと皮膚を叩く音。


「きっ鬼道!?何してんだよ!?」


誰もが鬼道の行動に驚いた。


「いや、衝撃を与えれば元に戻るかと思って」


やはり無駄だったかと呟いた。


仕方ないので一度東京に帰ることにした。


エミリーは病院へ、他のメンバーは河川敷で調整だ。


病院で医者が言うにはエミリーのような者を見たことがないそうだ。


脳外科医がエミリーを診てもはっきりとした診断が出来ないでいた。


あまりにも進歩し過ぎているからである。


脳外科から精神科を奨められ、精神科にたらい回しされた。


精神科医の彼はエミリーをベッドに寝かせた。


「目を閉じて。君はとてもリラックスしている」


精神科医の彼は言う。


付き添いである瞳子には正しいやり方なのかは専門じゃないので判断できなかった。


「階段を一段ずっと降りてくる。ドアがある。そこを覗いてみよう。何がある?」


エミリーがゆっくりと口を開いた。


「暗い、何も見えない...怖い」


「大丈夫、私が傍にいる」


精神科医の彼は気休め程度にしかならない事を言った。


今まで何人の人にその言葉を言ったのだろう。


「目を凝らしてよく見てみよう」


エミリーは真・帝国学園で見たのと同じ物を見ていた。


筒上の装置の設計図、遺伝子の系列、数式と記号。


エミリーの身体はピンクのべとべとの液体にまみれていた。






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