第二部:地底の隠れ里
□いざ、三次転職!
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カニング、ルーパン沼。
その名の通り、ルーパンで溢れる沼だ。
「あー、すっげぇじめじめしてんのは何とかなんねぇかな…」
「仕方ないだろ…やっぱ“沼”だし。」
そうぼやく炬燵とハイルは、リュカとシュウと同じように次元の扉を探しにきていた。
…が、
「行き止まり、だな…」
立ち止まった2人の目の前は大量の蔦と木で埋め尽くされていた。
「でもここまでの道に次元の扉とか無かったよな?」
と、とりあえず周りを見渡すハイル。
だが炬燵はただ一点を見つめていた。
「ん?何かあったか、炬燵?」
「いや…
この蔦の上に行けねぇかなぁって思ってな…。
よし、いっぺん登るか!」
「登るのかよ!」
「だってほら、ボーッとしてんのも無駄だろ?」
そう言うや否や、ハイルが止める間もなく蔦を一本手に取り、軽々と登っていく。
「ちょ、炬燵お前、」
「うわっっ!」
ハイルが声をかけた瞬間に蔦が切れたらしく、上から落下してくる炬燵。
「いってー…」
「…だから無茶だって…」
と、ハイルは呆れているものの、炬燵は何やら嬉しそうだ。
「今は失敗したけどあの蔦の上にまだ道はあったんだよ!
きっとそこに次元の扉はあるはずだ、行くぞ!」
そう言うなり炬燵はまた蔦をつかんで上に登っていった。
「あー…
仕方ねぇ、俺も行くか…」
─────────────
2人が登っていった蔦の上には、そこそこ広い空間があり、その一番奥に白い光が渦巻く亀裂…“次元の扉”があった。
「本当にあったな…」
「だろっ?
よーし行くぜー!」
「ちょ、待て!」
急ぐ炬燵に慌ててハイルが声をかけるが炬燵の方は既に次元の扉に向かっていて止まる様子は無い。
「あー、仕方ねぇ!」
と叫ぶなりポケットから何かを取り出し、放り投げた。
宙を舞う“何か”は炬燵と同時に次元の扉に吸い込まれていった。
そしてその後、ハイルも後を追って次元の扉に飛び込んでいった。
─────────────
「はーっ、危なかったぁー!」
次元の扉に飛び込んだ後、リュカが見たのは薄暗い森とは打って変わって、至る所にクリスタルが生えている洞窟のような場所。
周りを見渡してみてもあるのは碧のクリスタルと石畳でできた床。
「…あれ、シュウ…」
2人で次元の扉に飛び込んだはずが自分1人しかいない。
その事実に気付いたリュカの顔はどんどん青白くなっていく。
「嘘っ、シュウどこっ!?
まさか置いてきちゃったとか…」
焦って先ほどの森に戻ろうとしたものの、次元の扉は既に消えていて戻ることは出来ない。
「うーん…進むしかないのかなぁ…」
そう言ってリュカは1人で先へ進んで行った。
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「おー、逃げ切れたかー…」
いなくなったかと思われたシュウもちゃんと次元の扉をくぐり、リュカと同じ場所に飛ばされていた。
ただしこちらもシュウ1人だけである。
「ありゃ…?リュカがいないな…
確か一緒に飛び込んだから…、ここからは1人で行けってことかな。
まぁ試練ってくらいだしなぁ〜」
と、さほど取り乱すこともなく、先に進んで行った。
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2人が洞窟を進んだ先には開けた空間が広がっていた。
そこが試験の会場だと察した2人はその空間を軽く見回す。
すると開けた空間の中央には白い髪と髭、ローブと全身真っ白な老人が浮いていた。
─2人の師匠にしてエリニアの大賢者であるハインズ…その分身だった。
別次元の同じ場所で、2人のハインズはそれぞれリュカとシュウに向かって杖を構えた──。