第二部:地底の隠れ里

□いざ、三次転職!
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その後ハイルと炬燵は顔に傷のある男に、リュカとシュウは宙に浮く女にそれぞれこう告げられた。

─新たな力を手に入れるためにはまず自分達の師匠にあたる二次転職官のもとを訪れよ─と。

その言葉に従い、ビクトリアアイランドに戻る準備をする4人。

そんな中何か物憂げな表情で窓の外を見つめていたリュウにリュカが声をかける。

「ここまで連れてきてもらったけど…リュウさんはどうするの?」

「俺はここまでの案内人だ。ここからはお前達で行くんだな。

…久々の故郷だ。少しゆっくりしていくのもいいかもしれないな…」

「…そっか。」

「おーいリュカー!
さっさと来ないとハイルが置いてくってよー?」

「嘘っ!?
やだぁ、待ってー!」

シュウの呼び声を聞き、慌ててテレポートで去っていくリュカを見たリュウの顔に一瞬だけ、微笑みのようなものが浮かんだ。


リュカ達4人が出ていってから少しして、リュウも外に出ようと扉に手をかけた瞬間、後ろからタイラスの声がかかる。

「何だ、もう帰るのか?」

「いや…
久々に帰って来たからその辺を回ってこようかと思ってな。」

「そうか。
…あの家はまだちゃんと残してあるからな。」

「!
…すまない。」

そう言うと扉を開け、外に出ていった。

「相変わらずあの子の前だと父親みたいね。」

クスリと笑って言ったのは先ほどリュカとシュウに話をしていた宙に浮く女…ロベイラだった。

「うるさいな…」

ムッとして返すタイラスだったが、息子の帰還を喜ぶ父親の眼をしていた。

「こらロベイラ、あまり茶化すんじゃない。
まぁ…あいつも5年前に比べてだいぶ成長したようだな。」

そう言ってタイラスとロベイラの間に入ってきたのは先ほどハイルと炬燵に話をしていた顔に傷のある男…アレクだ。

「そりゃああの年代の5年は大きいからな。
…で、今回お前達のところに行った奴らはどうだ?
俺が見たところなかなか良さそうなのがいたが」

タイラスの問いに2人はそれぞれ答えた。

「素質はなかなかね。
でも1人それ以上の何かを持っている気がするわ。」

「俺のところにもそういうのが1人いたな。
まだ上手く使えていないようだが、大きな力を内に秘めた奴…
悪いものでなければいいのだが…」

────────────
三次転職官達の家から出ていった4人は先ほど降ってきたオルビス塔を登ってオルビスに戻り、そこから船に乗り、無事エリニアへと辿り着いた。


「じゃあ、ここでいったんお別れだな。」

エリニアステーションから出るとシュウはそう言った。

リュカとシュウの師匠にあたる賢者ハインズはエリニアに、ハイルと炬燵の師匠、ダークロードはカニングシティーにいるためここからは二手に別れて行くことになる。

「全部終わったらまたこの駅に集合しようぜ。」

ハイルがそう言うと、真っ先に炬燵が反応した。

「よし、じゃあ競争だな!
行くぞハイル!」

「ちょ、おいっ!
…行っちまった…」

ハイルが止めようとした時には既に帰還の書を使ったらしく、炬燵は消え去っていた。

「まぁ、そういうことだ。
一応俺も競争のつもりではいるから、そっちも何とかやるんだな。
んじゃ、俺も行くわ」

急な展開に半ばついていけていない魔法使い2名にそう言うとハイルも帰還の書を取り出し、その場から消え去った。

「確実に俺らの返事聞く気ないだろあいつら…」

2人だけ残されたところでシュウが呟き、隣でリュカが苦笑いして言う。

「まぁ、行動的なのはいいんじゃないかな…
さ、あたし達も行かないとね!」

「うっし!
こうなったらあいつらより早く終わらせるか!」

そう言って2人は頷き、エリニアの頂上にある魔法図書館…ハインズのもとへと急ぐのだった。
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