第二部:地底の隠れ里
□いざ、三次転職!
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それから数分して。
「…大丈夫かお前達…?」
ダークロードが相変わらず床に転がっている二人に呼びかける。
「まぁなんとかー」
「…お前達も三次転職だな。
俺からは“力の試練”を与えよう。
会場で俺の分身を倒し、黒い護符を持って来るんだ。
試験会場にはルーパン沼の奥にある次元の扉から行くといい。
油断はするなよ?…俺から言えることは以上だ。」
そう言われると二人も起き上がり、目で挨拶をすると梯子を駆け上がり、バーを出ていった。
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エリニア、邪気の森。
場所は違うが、リュカとシュウも次元の扉を探しに来ていた。
薄暗い森の中には箒で空を飛ぶ魔女のようなモンスター、メロディであふれかえっている。
「本当にこんなところに次元の扉なんてあるのかな〜」
「まぁ…爺さんはここにあるって言ってたから探してみようぜ。
とっとと見つけて進まないとパウストが出る可能性があるからな。」
邪気の森には、大型の猿型ゾンビモンスター、パウストが現れる危険性があるため、通り過ぎようとするだけなら長居は無用である。
「よっし、じゃあこんなところさっさとおさらばしよっか!
…何あれ。」
改めて進もうとしたリュカが立ち止まり、ある一点を指差した。
そこには薄暗い周りに似合わない、白い光が渦巻く大きな亀裂。
「あれが次元の扉かな?」
「そうかも知れないな。
まぁ、行ってみるか!」
と、意気揚々と歩き出す2人だが、気付くと周りに邪悪な気が漂いはじめていた。
「…なんか変な感じがするんだけど…
シュウ、何か感じない?」
「いや、俺は別に…」
ギァァアアアア!!
「っ!」
シュウの言葉を遮ったのは荒々しい“猿”のような鳴き声。
2人が声のする方を向くと、薄汚れた灰色の大きな猿が2人を睨んでいた。
「……で、」
「出たぁぁあああ!」
突然現れたパウストに一瞬驚いた後、2人は一目散に次元の扉へと駆け出した。
だが2人とも魔法使いなため、いくらテレポートがあるとはいえ体力面では長距離を走るには向いていない。
それに加え森の中で足場も悪く、地の利は確実にパウストの方にあった。
「くそっ、このままじゃ埒があかねぇ!
リュカ、そのまま走れっ!」
そういうと急にシュウが走るのを止め、迫ってくるパウストの方を向いた。
「ちょっとシュウ、何する気!?」
「だから止まるなって言ってんだろ!
俺が時間を稼ぐから今のうちに進め!コールドビーム!」
シュウの杖から放たれた氷は真っ直ぐにパウストの足元へと向かい、見事命中する。
…が、足元が凍り付くこともなく、むしろ殺気が大きくなっただけのようだ。
「ばかーっ!
余計怒っちゃったじゃん!」
「そんなつもりじゃなかったのに…!
逃げろぉぉお!!」
結果的によりスピードの増したパウストに追いかけられる2人…
パウストとの距離もだんだん短くなっていくが、それと同じように次元の扉との距離も縮まってきていた。
「よし、せーので飛び込むぞ!」
「おっけー!
…せーのっ!!」
パウストがすぐ後ろで奇声を上げる中、2人は次元の扉へと飛び込んでいった──。