第二部:地底の隠れ里

□いざ、三次転職!
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「逃げるなぁっ!」

間合いを取るために後ろへと下がるダークロードの分身に対して、それを叫びながら追う炬燵。

分身は叫びに応える代わりに半人半牛の魔物、タウロマシスを呼び出した。

「っ…!」

突然現れた巨体に怯みながらも炬燵は確実に攻撃を重ねていった。

─────────────
ハイルの背後から突如として現れた黒い影…ダークロードの分身は巨大な手裏剣を作り出す。

投げ賊の3次スキル、アヴェンジャーだ。

そしてそれを通信機に気を取られているハイルに向かって投げつける。

その直後にハイルは分身の方へ振り向こうとしたが、既に手裏剣は彼のすぐ近くまで迫っていた。


結局手裏剣自体はハイルに当たらなかったものの、衝撃波によって吹き飛ばされる。

「ぐあっ…!」

吹き飛ばされたハイルは床に、手にしていた通信機は岩壁に叩きつけられ、彼を襲った手裏剣も岩壁を削って止まり、消滅した。


「ってぇ…」

再び背中に強い衝撃を感じてハイルは目を覚ました。

どうやら床に叩きつけられた衝撃で起きたらしく、気を失ってからあまり時間は経っていないようだ。

ふと殺気を感じて横に跳ぶと、ハイルのいた場所には手裏剣が2枚刺さっている。

そしてその手裏剣が飛んできた方にいたのは続けて手裏剣を投げようとするダークロードの分身。

目標を確認するとハイルは短剣を握りなおし、分身に駆け寄っていった。

────────────
何分経っただろうか。

あれからハイルが絶えず斬り付け続けているというのにダークロードの分身は倒れる気配を見せない。

その反面、ハイルの方はずっと同じ状況が続き、体力だけではなく精神的にもかなり疲労が溜まってきていた。

かと言って退避している間に分身の体力が回復したら元も子もない。

そう思ったハイルは今までと同じ様に斬り付けた後、飛んでくる手裏剣に備えて後ろに下がる。

…が、ダークロードの分身は手裏剣を構える事無く、静かに膝をつき…消え去った。


「…消え、た……?」

呆然としているハイルの目の前、分身の消えた場所…そこに何か“黒い護符”のようなものが現れた。

「あれは…」


その存在が彼の“力の試練”が終わったことを示していた。


「さて、じゃあとっとと帰らないとな…
通信機が壊れたのは予想外だが…」

ハイルは黒い護符を拾ってそう言うと、岩壁に括り付けてあるロープで今まで戦っていた空間の一番上まで登る。

そこにある優しい碧の光を放つ大きなクリスタルに触れると、とたんに周りの景色が歪みだす。


気が付くと彼はカニングシティーに戻って来ていたのだった。

そのまま彼は一軒のバー…盗賊のアジトへと向かっていった。
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