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□お泊まり
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「……今日はさ、豪炎寺くんの家に泊まっちゃおうかなー…」



それは何気なく吹雪の口から出された言葉だった。






「うぃー。今日の練習終わりっ!」
稲妻町の河川敷で行われていた練習も、日が暮れ始めたため、終わることになった。
みんなはそれぞれだらだらとした足取りで、ジャージを羽織り、挨拶を交わし合い、帰り道を歩いていった。


「じゃーな!吹雪、豪炎寺!」
「じゃあね、キャプテン」「おぅ」


円堂は今まで練習があったことを忘れさせるような元気で、別れのあいさつをした。
豪炎寺と吹雪もジャージに身を包み、帰ることにした。



吹雪は北海道からキャラバンで来たため、家には帰らず、キャラバンやホテルに泊まることとなっている。と言っても中学生にホテルに泊まる金など無く、キャラバンに泊まることがほとんどだった。
前に円堂や染岡の家に泊まったこともあった。




「豪炎寺くん、帰ろ」
「ああ、今日はキャラバンには泊まらないのか?」
「うん…今日はさ、豪炎寺くんが泊めてくれるから…」
「えっ…」
「いい、よね?」
「いいけど…」
吹雪から来てくれるなんて珍しい。
豪炎寺は少し驚きながらも吹雪を家に泊めることにした。






「なんかね〜、こうやって2人で並んでのんびり歩くの、いいな〜って」
吹雪は豪炎寺の腕に自分の腕を絡ませ、密着しながらポツリと呟いた。
「そうだな〜、恋人って感じがするな」
「何、僕豪炎寺くんの恋人でしょー」
ぷくーと頬を膨らませながら豪炎寺の方を軽く睨んだ。
「はは、悪いな」



こうして辺りは薄暗くなる頃、豪炎寺の家に着いた。
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