少年少女大罪物語

□傲慢の話
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西園寺エリカ*私立風見学園中等部にて  

朝の学校というのはとても清々しい。みんなが私に跪く。「おはようございます、エリカ様」と返してくれる。まるで執事やメイドみたいに。
私は父の会社の社長令嬢、西園寺エリカ。長い茶髪にゆるいカールを巻いて、スタイルも顔もいい、容姿端麗なお嬢様。何もかもが自分の思い通り。みんなが私に尽くしてくれる。周りが雑草なら私は美しい花。気に入ったものは手に入れる、飽きたらゴミ箱、気に入らないものは排除するのが私。周りのクラスメイトや先生は雑魚同然。すべては私のもの。
両親から学校へ多額の寄付金のおかげで学校のトップに君臨している気分に浸れるのは私だけ。気に入らない奴に味方なんか一人も寄せ付けないんだから!

「おはようございます!エリカ様!」
「おはようございます!」
今日も跪く周りの雑草たち。
私はそんな中、すました顔で廊下の真ん中を歩く。
「ごきげんよう」
そう一言返す。
教室に入ると、いつもの私のお気に入りの部下たちが待っている。
「おはようございます!今日も素敵ですエリカ様!」
「ええ、ごきげんよう」
「その髪飾り、素敵です!どこで買われたんです?」
「買ったのではなくお父様に頂いたの。海外出張のお土産にね」
そうして部下たちと楽しく過ごしているとチャイムが鳴る。退屈な授業が始まる。

お昼休み。いつもの部下たちと食事。そして一緒にトイレへ談笑しに行こうと向かっている時だった。私は誰かとぶつかって制服にチョークが付いたのだ。ぶつかったのは同じクラスの成績優秀なクラス委員、雪村冬美。メガネで長い黒髪をおさげに二つ結っていて、白い無地のカチューシャをしている陰気な女子だった。どうやらクラス委員の仕事で、チョークを変えてきたところだったらしい。
「ちょっと貴女!この私によくもぶつかったわね!」
「そうだ!雪村、エリカ様に何かあったらどうするの?」
「陰気な臭いついたらどうすんの!」
「す、すみませ…」
「ああ!私の制服がチョークで…!」
私は憤慨した。白いチョークの粉が右肩に付いていた。
「雪村冬美!貴女気に入りませんわ!ちょっと、やってちょうだい!」
部下たちに雪村を排除するように命令した。気に入らないんですもの!制服を汚したことが!
この日から、私たちによる雪村冬美いじめが始まった。
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