★Story★

□君の好きなうた
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“好きだよと 今日も言えないまま
見送った 今まで一緒にいたのに
会いたくて 君の好きなうたを繰り返し
口ずさんだ 帰り道”


この曲が嫌いだ。
まるで自分のことを言われてるみたいで…



〜君の好きなうた〜



今日は2人で日直だった。
日誌を持っていった井上と
集めたノートを持って越智さんのところへ。
ついでにと雑用を頼まれ
2人で仕事をこなしていた。
越智さんにサンキュー助かった
と言われ、職員室を出る。
ふとそこで外を見ると
暗くなっていることに気付いた。

「うわ!かなり暗くなってるし。それにもうこんな時間かよ!井上、送ってくよ。」
「え?いいよ!黒崎くんが帰るの遅くなっちゃうし。」
「いいって!こんな暗いのに女1人は危ねぇし!それに…」
「それに?」
「………いや…なんでもねぇ…」
「???」
それに――もっと一緒にいたいから――
そんなガラにもないことが頭に浮かぶとは。
いつからそう思うようになったんだろうか。
最初は危なっかしいやつだから
俺が見てなきゃ!だなんて
井上の兄にでもなったような気持ちだったと思う。
俺が夏梨や遊子を想うのと同じで。
でも違った。
井上のことを気付いたら眼で追っていた。
知らないやろうと話をしてるだけで嫉妬してた。
井上は、俺が護りたいんだ。
他の誰でもなく―俺―が。



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