★Story★

□現心
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夕暮れの教室。
忘れ物を取りに戻ってきた俺。
教室の扉を開けると
そこには眠っている井上がいた。
夕日に照らされながら
眠る彼女がとても綺麗で
――触れたい――
と思った。

―触れたら…いけない―
頭の中では分かっているものの
手を伸ばし近付いていく。

「…ん…」
織姫の声にはっとする。


(俺はなにをしようとしてたんだ。
井上が寝ているのに触ろうとするなんて!!!)

触れてしまいたい…
こんな感情が自分の中にあることに動揺する。
だがそれをしてしまえば
―彼女を離したくなくなる―

一護の中で葛藤が渦巻く。



「…くろさ…くん」

井上の口から聞こえる俺の名前。
夢の中でも井上に会えているんだろうか。
そんなことが嬉しいと思う。

そして
織姫の寝顔を見つめ
「好きだ。」と小さく呟いた。

彼女にはまだ言えてない。
せめて眠っている時にだけでも
―彼女に俺の気持ちが届きますように―



〜現心〜



Fin.


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