アレ神・短編

□I wanna be with you!
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 むしゃくしゃする。
日本の夏らしい高温湿潤な空気。
爽やかな青に入道雲の白が映える空。
あの雲みたいな色の髪。
むしゃくしゃする。



 低血圧な神田は朝が弱い。
梅雨生まれのくせに湿っぽい暑さにも弱く、梅雨の合間の気まぐれな晴天、つまり今日みたいな日の午前中は神田のコンディションは最悪に近い。

 追い討ちをかけるように今朝は大嫌いな数学と物理の授業が続いてあったものだから、この中休みが始まるなり神田は机に突っ伏し、ほぼゼロに近くなった気力体力を少しでも回復させようとしていた。
湿り気を帯びた机のカビ臭さなどこの際どうでもいい。

 腕までだらりと下げた様は、女子を含めても学校一と言われた神田の美貌をぶち壊すのに十分なだらしなさだが、本人は全く気にしないようだ。

だが完全に意識が途切れたわけではないので、神田は不愉快な会話が聞こえてくることからは逃れられない。

「ねぇねぇアレンくん!」
「はい、何ですか?」
「今日の放課後って時間ある?お茶しようよ」

喧しく思って神田は突っ伏した姿勢のまま顔だけ上げた。

水分補給用と称して授業中から机上に出しっぱなしのそば茶のペットボトルの向こうに見えるのは、鼻につくほど紳士的な笑みを浮かべて会話に興じる白髪の少年。

うぜぇ、と神田は苛立った。



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