【 パラレルワールド 】
□【2人だけのお姫様】
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タマゴ「ピッコロ〜、ネイル〜!」
今も昔も変わらぬ、オレ達を呼ぶその優しい声。
可愛い可愛い、オレ達のお姫様。
子供[ガキ]の頃からの、オレ達のお姫様。
泣き虫で、女子から疎まれる程に可愛かったタマゴは、昔からよくイジメられていた。
その度に、空手を習っていたオレは、ソイツ等をいつも追い払ってやった。
高校生になった今でもソレは変わらず、女子の先輩に呼び出されたら助けに行く。
勉強で「問題が解けない」なんて言ってきたら、今度はソレを、ネイルが付きっきりで教える。
転んでケガをし、泣いてしまったタマゴを、泣き止むまで優しく撫ででやるのもネイルだ。
そう、オレ達は、タマゴが困っていたら何だってした。
「いつもゴメンね」、なんて謝罪してくるが、そんなんじゃない。
タマゴの笑った顔が、ただオレ達は見たいだけ。
タマゴが笑顔になる事、喜ぶ事…ソレ等がオレ達の力の源になるのだから。
物心付いた頃から一緒に育ってきたオレ達のそんな関係は、きっとこれからも、変わる事無く続くんだ…。
タマゴ「うぅ〜、何か最近寒くなってきたね」
ネイル「ああ、もうすっかり秋だな」
ピッコロ「そうか?
オレは寒さも何も感じんぞ」
タマゴ「あはは。 ピッコロは寒いの平気だもんね、良いなぁ…」
ピッコロ「そうだな。
素っ裸でもいけるぞ?」
タマゴ「煤I…お願いだから、しないでね?」
ネイル「うむ、同感だな」
ピッコロ「アホ!
するワケ無いだろうが
!
今のは喩(たと)えだ、喩え
!!」
ネイル「ははは」
こんな調子で、今日も同じ時間に、同じ学校の制服で、同じ通学路を歩く。
右がわたしで、左がピッコロ。
そして、真ん中がタマゴだ。
手を繋いで歩くのは、実は今でもそうだ。
ピッコロは、最近になって恥ずかしいらしいが、わたしは別にそうでもない。
なので、最初は嫌がっていたピッコロも、わたしとタマゴが手を繋いでいるのを見ると、自分も意地になって、彼女と手を繋いでくるのだ。
本当は、わたしとタマゴだけが手を繋いでいるのがイヤらしいんだがな…。
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