【 私の宝物 】
□【jealousy 〜嫉妬〜 】
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揺れる草の音
サラサラと流れる小川のせせらぎ
そして俺の隣に座るタマゴ
俺にこんなにも心安らぐ時が訪れるとは夢にも思っていなかった。
ふと視線が合い、恥ずかしそうに笑顔を向けるサクラに心が躍る。
今日こそは・・・
そっと手を伸ばし、その華奢な肩に触れようとした時
「お姉ちゃーん!!」
「見ーっつけた!!」
『悟天君!トランクス君!』
現れた餓鬼共を見て立ち上がったタマゴに、俺の手は儚く宙を掻いた。
また来やがった・・・
嬉しそうにタマゴにまとわりつく小僧共。
こいつらはいたくタマゴを気に入っているらしく、事あるごとに”一緒に遊びに”来やがるのだ。
俺からすれば迷惑以外のなんでもないのだが。
「タマゴお姉ちゃん、遊んでー♪」
「ね、今日は何しよっか!」
『う、うん・・でも今日はお姉ちゃん、ピッコロさんと・・』
そうだ。今日はタマゴは俺と過ごすのでな。
貴様らは帰るがいい。
「ええーー!?僕と遊んで・・くれないの・・?」
「俺もタマゴお姉ちゃんと・・遊びた・・い・・」
『あっ・・やだ、泣かないで?』
待てタマゴ、それは嘘泣きだ!奴らの常套手段なんだ、騙されるな!
『うーん・・しょうがない。ピッコロさん、ちょっとだけ2人と遊んでもいいですか?』
「!!・・・はぁ、好きにしろ」
くそ、まんまと騙されおってからに・・・。
見ろ、もう笑ってやがる。涙の痕もないではないか。
文句のひとつも言ってやろうかと思ったが、笑うタマゴの顔を見ては口を噤むしかなかった。
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