【 我が愛しのプリンセス 】
□【たった1つの世界】
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ピッコロ「は? …お前等が、『双子じゃなかったら』??」
悟飯「そーですよー」
ピッコロは弟子[悟飯]の問いに、文字通りキョトンとする。
悟飯はのんびりと返事をして、師匠[ピッコロ]に微笑んだ…。
暖かくなってきた頃だった。
なかなか咲かないものだった桜達。
ソレもやっと、蕾(つぼみ)が1つの輪を作るように、花びらが可愛らしく開花していった…。
まだ風が冷たい日もあるが、昼は眠気を誘う程の心地良さに取って代わる。
そして、今日も気候が暖かくて、過ごしやすい日だった。
遊んだり、体を休めたりするには最適な日。
そんな訳だから、孫家のすぐ前の原っぱでは―。
孫家の長女である桜花と、その弟の悟天、ベジータとブルマの息子であるトランクスが駆け回っている。
最も、桜花はこのチビッコ達に引っ張られてしまっただけなのだが…。
ソレでも嫌な顔を1つもしない桜花は、やはり優しい子だ。
そう、悟飯と同じ…優しい子。
悟飯「や、特に深い意味はないんですけど…。 時々そう思っちゃうんですよね…」
悟飯は悟天達と遊んでいる桜花を見て苦笑した。
ピッコロも、ソレに合わせて桜花を見やる。
ピッコロ「…双子じゃなく、別の……全くの赤の他人だったら、か…」
この双子が“双子じゃなかったら”なんて、そういえば考えた事がなかったピッコロ。
彼は今一つ、ピンと来なかった。
対する悟飯は双子であるが為か、無意識の内にそういう考えが、最近になってよく浮かんてきたのだ。
“もしも双子じゃなかったら”という問いは、“どうして双子なんだろう”という疑問にも聞こえてくる…。
でもソレには、悲しみや苦悩のような“負の感情”はもちろん籠(こも)っていない。
そう、ただの純粋な疑問。
別に明確な答えが欲しいわけでもない。
人間、人生に1度はそういう意味もないような疑問を作るものだ。
悟飯だって例外ではない。
悟飯「もし双子じゃなかったら…出会う事は出来たかなぁ、とか…。
もしかしたら学校の友達とかになっていたかぁ、とか…。
双子じゃなくても、僕の姉として生まれて来てくれたかなぁ、とか…。」
ピッコロ「…お前でも、そんな事を考えるんだな。」
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