行雲流水
□吹いたのは、
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願いならば無数にある。
ささやかなものから、大それたものまで。
時々、暇つぶしのように考えていた。
もしも、どんな願いだろうが一つだけ叶うなら、何を願うか。
『不思議』の中で生きることを想った。
『冒険』の中で生きることを想った。
その願いの底には凍ったような泪のきらめきがあった。
それがきらめくたびに、幼く純粋な叫びが心を傷つけた。
憶えている限りで一番最初に願ったのは、ポケモンのラプラスに乗ることだった。
アニメを見ながら、サトシのように冒険するユメを何度見たことか。
その願いは心の底にしっかりと根付き、かなうことはないと知りながら諦め切れなかった。
おかげで大きくなった今でもポケモンは好きで、ぬいぐるみを買っていたりアニメを見ていたりする。ゲームも当然だ。
ポケモン。正確には、ポケットモンスター。
世界中で大人気のゲーム。
そこから派生したアニメやマンガも人気を収めている。
ポケモンは架空の生き物であると、理解はしている。
ポケモンの世界が架空であると、理解はしている。
理解は、しているのだ。
でも、心の底で幼い声が叫ぶ。
あきらめたくない。
どうしてあきらめないといけないの。
悲痛な響きが真っ直ぐに届く。
いくら押さえつけても。
何度、押さえつけても。