行雲流水
□出会ったのは、
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ユウの涙がおさまるのを待ってから、一人と二匹は移動を始めた。
「嬉し涙とか初めて流したよ」
どこか楽しそうに言う。
「それでさ、ここってどこ?」
『は?』
訝しげに返したのはロコン。
この子供は何を言っているのだろう。
そう思ったのはガーディの方も同じだったようで。
『お前、分かっててこの森に入ってきたんじゃねぇのか?』
「えーっと…」
ユウは少し悩んだ。
説明したほうがいいだろうか。
面倒なので、できれば避けたかったのだけど。
とはいえ、隠したかったわけではない。
ユウは簡単に説明することにした。
「僕は異世界から来たんだけどね、トリップして着いたのがこの森だったんだ。だからこの森がどこかは知らない」
にこりと笑みを浮かべた彼女を見て、ロコンとガーディは顔を見合わせた。
嘘をついているようには見えない。
だからこそ、信じることが難しい。
だが、そうでなければ、彼女が自分たちと言葉を交わしていることに、理由がつかない。
『だから、俺達の言葉が分かるんだな?』
念のためにユウに確認する。と、唐突にピタリと停止した。
「……………………はい?」
『いや、だから、俺達の言葉が分かるんだな?』
「…………………………二人が、人間の言葉を喋ってるんじゃなくて?」
それは、生物的構造において無理だ。
ポケモンの声帯は基本的に人間の声が出せるようにはなっていない。
どこかの地方には人の言葉を真似する鳥がいるらしいが、それはただの噂だろう。
「僕が、ポケモンの言葉を、理解してる……?」