行雲流水

□踏み出したのは、
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 ユウは甚平に着替えて、夢斗が作った昼食を仮眠室の隣で食べていた。
 ちなみにこの甚平は和服を着たいとユウが言ったことを聞いた博士がくれたものらしい。博士は今家に帰っていて、これらのことは七希から聞いた。
 そしてたまごはまだ調査中であるらしかった。

 昼食を中ほどまで食べたとき、ユウが口を開いた。

「ポケモンが人の姿になるのは普通?」
「ポケモンのことは知ってんじゃねぇのか?」
「いーからいーから」

 なんとなく釈然としないまま、七希が答えた。

「珍しくはねぇけど、普通のことでもないな、まだ」
「まだ?」

 不思議に思って聞き返す。
 七希は首を縦に振ることで肯定した。

「十年ぐらい前から、人と暮らすポケモンを中心にこの変化が始まったんだ。原因は不明。ま、科学者とか研究者とかが今躍起になって調べてるみたいだけどな。あ、そうそう、どっかの地方のユ…なんとかってやつは昔に戻ってるだけって言ったらしいぜ」

 最後のほうの言葉に、夢斗が疑問を投げかけた。

「昔に戻ってるだけ?」
「ああ、この間テレビでな、かなり古い本まである図書館の特集みたいなのがあってたんだよ。それでこの変化についてどう思いますかー? って図書館の職員が聞かれて常連はこう言ってました、てな。……こんな感じでよかったか?」
「んう、ふぁふぃあふぉ」
「口に物を入れたまま喋るな」

 夢斗の眉がつりあがり、ユウは慌てて水でのどの奥に流し込む。
 綺麗な顔だから怒ると迫力がある。

「ありがと、七希」

 改めて七希の方を見てお礼を言う。
 別に夢斗が恐くて見れないわけじゃない。決してない。
 そんなユウを見て七希が笑う。
 恨めしげに睨んでから、ユウは昼食の残りを食べ始めた。
  
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