行雲流水
□踏み出したのは、
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外にいると聞いて夢斗が向かうと、七希がユウの髪を切り揃えていた。
少し思案して理解した。
「……ああ、後ろ髪を引かれないように、か」
「そうだよー」
「よく分かったな」
ユウが明るく答えて、七希が感嘆する。
七希の言葉に夢斗は歯切れ悪く答えた。
「……昔……、ちょっと、な」
「…ふーん?」
誰だって人に聞かれたくないことはあるだろう。
そう思い、ユウは別のことを聞いた。
「ここってお風呂ある?」
「の前に終わったから動いていいぞ」
「あ、ありがとう」
座っていた椅子から降りて首周りから掛けていたタオルを外す。そして服に付いた髪を手で払って跳ねた。
「よし。で、お風呂は?」
期待で目を輝かせるユウに夢斗は小さく息を吐いた。
なんだろう。この、無邪気な子供は。
体だけが若返ったならば、中身はそれなりにそれなりなはずだが。
「ここにはない。だから今、オーキド博士が家に行っている」
「……いま?」
「今、な。風呂に入りたいなら行ってみるか?」
違和感を感じる発音を訂正して、七希が提案する。
ユウは大きく頷いた。