提出作品置場
□笑って笑って
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教室の後ろで君をずっと見ていた
見ていれば、私の視線に気づいてくれると思ったから
わざと教科書を忘れて、君に見せてもらった
少しでも話していたかったから
わざと君の前で落し物をした
「なぁ、シャーペン落としたぞ」
「あ、ありがとう。山本くん」
「礼なんていいって。気をつけろ?」
「うん」
君から話しかけてほしかったから
今日、初めて私は、君に話しかけた
「ねぇ、山本くん。一緒に帰ってもいい?」
「あぁ!」
笑ってくれた
「先行ってて。今日、日直だから」
「分かった!」
やっぱり、笑ってくれた
校門までの道を一人で歩く
校門には山本くんがいた
歩いていれば 大好きな君が待っている場所へ辿り着くから
だから私は―――――
「山本君!」
笑っていた
笑って笑って
(いつか君の下へ)
(辿り着けると分かっていたから)
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